ヘアカラーによる染毛のしくみ

毛髪を染める方法は、実は多岐に亘ります。

そんな数ある方法の中でも、最もスタンダードなのが「ヘアカラー」です。

では、そのヘアカラーの染毛のしくみを見ていきましょう。

ヘアカラーは「染毛剤」と「染毛料」に分類され、「染毛剤」の場合は医薬部外品、「染毛料」の場合は化粧品に分類されます。

一般的によく使用されているのは、より効果の強い染毛剤で、こちらは「永久染毛剤」とも呼ばれています。

さらに、この永久染毛剤は「酸化染毛剤」と「非酸化染毛剤」に分かれ、それぞれ染毛のメカニズムが少し異なります。

まず「酸化染毛剤」ですが、この薬剤の中に含まれているアルカリ剤が毛髪を膨潤し、毛髪内のキューティクルを刺激します。

そうなると、キューティクルは徐々に開いてくるので、そこからヘアカラーの成分を毛髪内部まで染み込ませるのです。

それに加え、アルカリ剤は過酸化水素を分解する効能があり、それによってメラニン色素を脱色させる効果もあります。

また、酸化染料を結合させ、発色させることで、髪の毛を染めることが可能となります。

基本的には、メラニン色素の脱色で明るい色合いにしつつ、酸化染料の発色で色を調整するという形になるので、ある程度細かい色の調整が可能です。

一方の「非酸化染毛剤」は、ポリフェノールを配合しており、これを開いたキューティクルから毛髪へ浸透させます

そして、染毛剤に配合されている鉄塩で、ポリフェノールと反応を起こし、発色するというしくみになっています。

ブリーチによる染毛のしくみ

基本的に、ヘアカラーリングには複数の種類がありますが、そこで大別するとすれば、「染料」か「脱色」か、で分けることができます。

その中の「脱色」に相当するのが「ブリーチ」です。

脱色剤として、既に長い歴史を持っているブリーチですが、そのしくみは基本的にヘアカラーとあまり大きくは異なりません。

まずアルカリ剤でキューティクルを開くという点は同じですし、その後に成分をそこから浸透させるという点も同じです。

違いは、浸透させる成分が「過酸化水素」という点ですね。

過酸化水素は、アルカリ剤によって分解されると、メラニン色素を脱色する働きを持つ成分になります。

そのため、ブリーチを使用すると毛髪内にあるメラニン色素が脱色され、髪の毛の色も変わり、結果として染毛ということになるのです。

脱色と染毛は、異なる現象ではありますが、違うメカニズムで行われるわけではありません。

また、結果として髪の毛の色が変わるという点も同じです。

そういう意味では、大別されるものの、それほど両者の間に違いはないということですね

ただ、脱色の場合は自然と髪の毛の色が制限されます。

脱色する場合、メラニン色素が明るくなるので、可能なのはハイトーンのみということになります。

また、色合いも茶系に限定されます。

とはいえ、脱色の具合によって明るさは変わってくるので、ある程度の色合いのコントロールは可能です。

ブリーチは主に女性が使用するという印象が強いものでしたが、現代では男女関係なく使用されています。

ヘアマスカラによる染毛のしくみ

いわゆる「染毛」の分類に属するヘアカラーリングの中には、「一時染毛料」という分野も存在しています。

これは、ヘアカラーに代表される「永久染毛剤」とは異なり、一時のみ染毛するというものです。

当然、時間が経てば色は落ちます。

そういう意味では、耐久性はありません。

逆にいえば、時間さえ経てば元に戻るので、一時の間だけ染めたいというニーズに応える形の商品となります。

そんな「一時染毛料」を代表する染料は、「ヘアマスカラ」です。

では、そのヘアマスカラのしくみを見ていきましょう。

ヘアマスカラは、通常の毛髪に着色料を塗布します。

ここで塗布する着色料は非常に大きく、またキューティクルを開いていないので、髪の毛の内部にまでは浸透せず、表面に付着するという形になります。

これで、しくみの解説は完了です。

つまり、単に着色料を髪の毛の表面に塗るというだけです。

付着させるための成分としては、樹脂を用いることが多いようですね。

そのため、シャンプーで洗い流せば簡単に落ちます。

ヘアマスカラを使用する場合の注意点は、シャンプーをするまでに目的を達成することを前提に、髪の毛を染めるということです。

すなわち、一日が限度ということですね。

普段は髪の毛は染めていないけど、特別な催しにお呼ばれしているので、その場に行くためだけに染める、あるいはあまり普段会わない友達と会う等という場合に、このヘアマスカラを使用することが多いのではないでしょうか。

また、逆に普段髪を染めている人が一時的に黒髪にしたい場合にも、ヘアマスカラは重宝されます。

ヘアマニキュアによる染毛のしくみ

同じ染料でも、その髪の毛を染めるメカニズムによって、持続する期間や強さが大きく変わってきます。

ヘアカラーの場合は永久染毛で、毛髪着色料の場合は一時染毛です。

では、その中間に位置する染料がないのかというと、実はしっかりと存在しています。

それが半永久染毛料「ヘアマニキュア」です。

ヘアマニキュアは、いわゆる「マイナスイオン」を用いた染料です。

元々、人間の毛髪は表面が帯電しており、「プラスイオン」が付着している状態になっています。

それに対し、ヘアマニキュアの中に含まれているマイナスイオンを塗布すると、毛髪表面のプラスイオンと結合します

その結合の際に、髪の毛が染まるというしくみになっているのです。

イオン結合というのが、ヘアマニキュアのヘアカラーリングのしくみなのです。

また、ヘアマニキュアには酸性染料も含まれておりそれによって薄く浸透し、キューティクルの隙間等も染毛されていきます。

ただし、キューティクルをこじ開けているわけではないので、内部深くにまでは浸透しません。

さらに、過酸化水素水も含んでおらずメラニン色素にも影響を及ぼしません

脱色しないので、髪の毛の色が明るくなることはなく、通常の黒に対して、塗料による変色が行われます。

ベースが明るい色ではなく暗い色なので、そこまで大きな変色はなされません。

結果として、ヘアマニキュアは一時染料ほど簡単に落とせるわけではないものの、ヘアカラーなどの永久染毛のように、中にまで浸透することもない、その中間の染料ということになります。

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